10月29日、国連の女子差別撤廃委員会は、ジェンダー平等に向けた日本政府の取り組みに対する審査の「最終見解」を発表し、選択的夫婦別姓の導入や国政選挙供託金の減額などの勧告しました。
女子差別撤廃委員会は、既存の差別規定に関する以前の勧告のいくつかが対処されていないこと、特に、夫婦同姓を義務付ける民法第750条を改正する措置が取られていないことに懸念を表明しました。この規定により、女性に夫の姓を名乗ることを強いることが多いと指摘しています。委員会は、日本に対し、結婚後も女性が旧姓を保持できるよう、夫婦の姓選択に関する法律を改正するよう求めました。
委員会はまた、事前の配偶者の同意が必要であると規定している母体衛生法第14条の限定的な例外により、合法的な中絶へのアクセスが限られていることにも懸念を示しました。委員会は締約国に対し、中絶を求める女性に対する配偶者の同意要件を撤廃し、すべてのケースで中絶を合法化するよう法律を改正するよう求めています。
委員会はまた、中絶薬を含む安全な中絶サービスが、すべての女性と女児にとってアクセスしやすく、手頃な価格で利用できるようにすることを日本に求めました。
選択的夫婦別姓についての勧告は、今回で4度目となりました。この問題を巡っては家族観を理由にした反対論も国内には見られますが、女子差別撤廃委員会は人権問題を扱う組織であり、あくまで女性の人権を侵害している点に注目しています。
委員会では、選択的夫婦別姓制度の問題を「フォローアップ項目」に指定しており、問題解決への進捗報告を2年以内に求め、国連の評価が公表することになっています。言い換えれば、2年以内に何らかの成果を出す必要があり、国際的な信用という点でも重要な2年を迎えることになります。
世界的な課題として言えることは、やはり無意識の中にあるジェンダーステレオタイプだ。「女性らしさ」「男性らしさ」といったジェンダー意識は、いまだ大きなものがあります。全ての人が一人の人の権利と尊厳を尊重する上で自らの振る舞いを日々振り返ることが必要です。
こうした視点から日本の課題を2つ指摘すると、1つは、ジェンダーギャップ指数を押し下げている政治分野の改善です。やはり、クオーター制の導入などで女性の政治家を増やすべきです。ジェンダー差別は社会構造の中に根付いており、社会を変えるには法律こそ重要な意味を持っています。法律の中に隠れている間接差別などを洗い出すには、女性の政治進出は欠かせません。今回の委員会の指摘には選挙の際の供託金の一時的な引き下げも入っています。日本政府に対し、国会での男女平等を進めるため、女性が選挙に立候補する場合、300万円の供託金を一時的に減額する措置を取るよう勧告した。
もう1つは女性政策を扱う省庁や国内人権委員会の設置です。政府にはジェンダー問題について専門的に教育を受けた人材がいません。これでは、国際的な動向を精査して政策に反映させることは困難です。省庁の設置が難しいなら人権委員会にジェンダー担当者を置くことも一案です。先進国でこうした体制がないのは日本だけと言っても過言ではありません。
今こそ具体的な対策に本腰を入れることが求められています。
茨城県議会公明党は、この最終見解をもとに、茨城県内の女性差別撤廃を進めてまいります。