この小学校は、文部科学省が推進する「学びの多様化学校」として、令和7年4月に開校したばかりで、生徒数13名という小規模ながらも、大きな可能性を秘めた新しい学びの場です。
学びの多様化学校とは、いわば「新しい学びの選択肢」を提供する学校であり、特に不登校の子どもたちを支えることを目的としています。現在、全国には58校しか存在しておらず、茨城県内ではリリーガーデン小学校が唯一の取り組みです。全国で不登校の児童・生徒は30万人を超えるともいわれ、学校に行きたくても行けない子どもたちが、安心して学び、育つための新たな受け皿が求められています。
このような状況を踏まえ、茨城県教育委員会では文部科学省と相談のうえ、廃校となった校舎を活用してこのリリーガーデン小学校をスタートさせました。生徒は水戸市を中心に、日立市、大洗町、笠間市、ひたちなか市などから通っており、広域から通学していることからも、この学校へのニーズの高さがうかがえます。
調査当日は、学校の職員の方から具体的な教育内容や日々の子どもたちの様子について丁寧にご説明いただきました。印象的だったのは、かつては門の前で立ちすくみ、教室に入ることすらできなかった生徒が、今では元気に農業体験に取り組むようになったというエピソードでした。子どもたち一人ひとりが、自分のペースで前を向き、再び学びに向き合っていく姿は、私たちに大きな希望を与えてくれます。
現在、多くの自治体では「校内フリースクール」という形で不登校の子どもたちに学びの場を提供しようとしていますが、実際には学校という枠組みの中に戻ること自体が高いハードルとなることも少なくありません。そうした現実を踏まえると、リリーガーデン小学校のように、別の選択肢を提示する「学びの多様化学校」の存在は、今後ますます重要になると感じました。
子どもたちの未来のために、学びの場は一つではなく、多様であってよい。これからも茨城県内でこのような新たな学びの形が広がっていくよう、私たちも力を尽くしてまいります。リリーガーデン小学校のさらなる発展と、そこで育つ子どもたちの健やかな成長を心より願っています。