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最低賃金の答申巡り、茨城県が審議会に公開質問状を提出

8月24日、茨城県の大井川和彦知事は、茨城労働局の審議会の清山玲会長宛てに公開質問状を提出しました。
茨城労働局の審議会は、8月7日、最低賃金について「国の審議会が示した目安よりも2円高い、42円を引き上げ、時給を953円とする」を提案を答申しました。これに対して茨城県からは疑問の声が上がっています。茨城県の経済実態を示す総合指数は全国9位に位置しているにも関わらず、最低賃金の額は全国15位。つまり、経済的な実態と最低賃金の額との間に乖離が生じています。県は、経済指標を反映した場合、最低賃金は全国9位相当の990円程度が適切であると指摘しています。その差額は37円にも達しています。
また、他県の状況を見ると、茨城県の最低賃金の上乗せが2円だったのに対して、同じBランクの島根県は7円の上乗せを実施しています。また、隣接する埼玉県や千葉県が、1000円を大きく超えており、このままでは格差が広がる一方となります。(埼玉県1028円、千葉県1026円)
こうした状況に対して、茨城県は「最低賃金改定の目安40円に2円のみの上乗せは、経済実態や近隣他県との格差を考慮していない」と判断し、茨城労働局の審議会の清山玲会長宛てに公開質問状を提出しました。
公開質問状の中で、茨城県は最低賃金と経済指標の間の乖離の理由、上乗せ額が2円に留まった背景、そして最低賃金の目的が果たされているかの見解を求めています。
茨城県のこの取り組みは、労働者の生活の安定を目指してのものです。最低賃金の問題は、我々の生活に直結する大切なテーマです。今後の動向に大いに注目していきたいと思います。

茨城県最低賃金の改正に係る公開質問状について

 本年8月7日、茨城地方最低賃金審議会から茨城労働局長に対し、茨城県の最低賃金を42円引き上げ、953円に改正することついて答申が行われました。
 本県の経済実態を示す総合指数は全国9位であり、経済指標を考慮すると、最低賃金額も全国9位相当の990円程度が適当であると考えます。
 しかしながら、今回の結果は、中央最低賃金審議会が示した最低賃金額改定の目安40円に2円のみが上乗せされた額であり、経済実態の反映や近隣他県との格差是正に配慮されたものとは考えられません。
 つきましては、引上げ額決定の理由等について、下記のとおり質問いたしますので、8月中に回答いただきますようお願いいたします。
  1. 本県の最低賃金は、経済実態を示す総合指数に見合った額とは言えず、本来、あるべき額よりも低く抑えられていると考えられますが、今回、最低賃金額と経済指標との乖離を解消しなかった理由をお示し願います。
  2. 全国的に物価高騰や人手不足という状況にある中、他県では地域間格差などを考慮し、最低賃金額改定の目安に最大8円上乗せする積極的な引上げが行われている一方、本県の上乗せ額が2円にとどまった理由をお示し願います。
  3. 最低賃金は、本来、賃金の低廉な労働者における生活の安定を図るものでありますが、近隣他県では最低賃金が1,000円を超える改正答申が行われる中、今回の答申額で、その目的が十分に果たされていると言えるのか、見解をお示し願います。