ひたちなか海浜鉄道の延伸計画が変更され、工事を2段階に分けて早期開業を目指す方向性が確認されました。
第一段階として、国営ひたち海浜公園の南口付近に新駅を整備し先行開業する計画です。令和5年度中に、国に工事の許可を求める申請を出し、着工してから早ければ5年後の完成を目指します。
海浜鉄道は、国営ひたち海浜公園へのアクセス向上を目的として、路線延伸に着手。年間約200万人が訪れる国営ひたち海浜公園公園への利便性を高めるだけでなく、地域の公共交通網を強化することが目的です。海浜鉄道は現在の終点である阿字ヶ浦駅から、ひたち海浜公園の中央口まで3.1キロを延伸する計画で2021年1月に、国交省から許可を受けました。
しかし、新型コロナによる需要低迷や物価高騰による建設費の増加などを受け、海浜鉄道では2年続けて国への工事許可申請を延期し、計画自体の見直しを進めていました。
このほど、工事を2段階に分け、まずは海浜公園の南口付近に新駅を整備し、1.4キロの区間を先行開業させます。
この計画変更の背景には、観光客の増加だけでなく、通勤需要の取り込みも期待できることがあります。茨城県では新たな工業団地の開発が進行中で、これにより通勤客の獲得も期待されています。すでに、新たな工業団地には半導体基板製造を行うJX金属が進出を決めています。JX金属は、2025年度初頭より順次操業を開始し、最終的には500名以上の人的規模を有する一大主要拠点として、地域経済と雇用創出に貢献したいとしています。
(写真はJX金属が進出する工業団地予定地)
延伸計画の費用は、当初の78億円から100億円以上に上昇すると見込まれています。このため、工事の設計変更などによりコスト削減が図られることになります。ひたちなか市やひたちなか海浜鉄道は、今後も計画の進行状況や費用について、関係機関と調整を進めながら、早期の開業を目指していく方針です。
このような背景のもと、地方鉄道の延伸計画が進むことは、地域の公共交通網強化と経済活性化に大きく寄与することが期待されています。特に、地方の公共交通が直面する多くの課題を考慮すると、このような取り組みは非常に注目される動きと言えます。
(ひたちなか海浜鉄道の現在の終点・阿字ヶ浦駅)