6月15日、茨城県が出資する「鹿島都市開発」が運営する「鹿島セントラルホテル」の売却計画が明らかになりました。新型コロナなどの影響で厳しくなった経営状況と、今後見込まれる施設の維持管理にかかる大規模な修繕費用のため、県は民間への売却を進めることにしました。
このホテルは1972年に開業し、企業誘致のための鹿島港周辺開発の一環として設立されました。また、高速バスのバスターミナルが設置されており、最近では新型コロナワクチンの大規模接種会場としても利用されていました。
茨城県は来月から民間の事業者をプロポーザル方式で公募し、今年11月に事業者を決め、来年4月に事業を譲渡したいと考えています。ホテルの従業員や取引先、利用客に対する不安を和らげるため、県地域振興課は会社を通じて説明を行うとしています。
売却を検討しているのはホテルの本館、新館、温浴施設とその土地で、鹿島都市開発はホテル部門以外の施設管理や不動産、設計開発の各部門は引き続き運営する予定です。
売却先を選ぶ際には、価格だけでなく提案内容や事業計画を総合的に判断する公募型プロポーザルを採用する予定です。ホテル従業員の継続雇用や5年間の所有権移転禁止、バスターミナル機能の維持なども選定の条件となります。
公募は7~10月に行い、11月に優先交渉権の企業を選定。その結果を県議会に説明し、来春の県議会で売却の承認を得たい考えです。順調に進めば、来年4月には新法人による運営が始まる見通しです。
鹿島都市開発は、県が46.8%出資する第三セクターで、資本金は約14億8千万円です。
大井川和彦知事は6月23日の定例記者会見で、県有施設の維持管理費用について「放っておくと、30年間で3兆円の費用が必要になる。長寿命化工事をしても、2兆円ほどかかる」との試算を示しました。
県は第三セクターが運営する「鹿島セントラルホテル」(神栖市)や県立少年教育施設の「白浜少年自然の家」(行方市)、「里美野外活動センター」(常陸太田市)を民間売却する方針を示しています。こうした県の方針を受け、県議会は県議会最終日に、県有財産などに関する調査特別委員会の設置することを決定しました。