2月19日茨城県は、人口減少と医療資源の再配分という課題に対応するため、県立中央病院(笠間市)と県立こども病院(水戸市)を統合し、新たな拠点病院を建設する方針を発表しました。新病院は、がん・小児・周産期医療の提供を中心に据え、10年以内の開院を目指して整備が進められます。建設候補地は、水戸インターチェンジ近くの笠間市小原地区・水戸市三湯町地区周辺とされ、県央・県北地域の医療を担う重要な施設となる予定です。
この計画の背景には、県内の医療環境の変化が大きく関係しています。茨城県は全国的にも医師不足が深刻な地域であり、特に人口10万人あたりの医師数が全国ワースト2位という状況です。水戸保健医療圏には、県立中央病院や県立こども病院のほか、水戸協同病院、水戸済生会総合病院、水戸医療センター、水戸赤十字病院といった6つの公的病院が存在しますが、それぞれの機能が重複し、非効率的な医療提供が問題視されていました。また、施設の老朽化も進んでおり、医療体制の抜本的な見直しが求められていました。
大井川知事は、19日の定例会見において「水戸保健医療圏は県央だけでなく県北も含めて高度な医療を提供する責任があるが、病院の機能が分化しておらず、中途半端に重複しているため効率が悪い。この統合により、それぞれの病院が機能を分担し、補完し合いながら、地域医療のとりでとなることを期待したい」と語りました。また、統合の決断に至った理由として、筑波大学からの医師派遣の継続が難しくなっていることを挙げ、「このままでは医師の確保が困難になり、県民への医療提供に支障をきたす可能性があった。再編は不可避だった」と強調しました。
新たな病院は、医療資源の集約を進めることで、手術支援ロボットの導入など最新の医療機器を活用しやすくなり、医師の労働環境の改善にもつながると期待されています。知事は「高度な医療を提供するには、単に病院の数を維持するのではなく、効率的に機能を分担し、医療の質を高めることが重要だ」と述べ、県全体の医療提供体制の最適化を目指す考えを示しました。
しかし、今回の統合計画に対しては、患者や地域住民からの懸念の声も上がっています。特に、笠間市の県立中央病院に通院している患者からは「今の場所から病院がなくなると困る」「近くて便利だったのに移転してしまうと通院が難しくなる」といった意見が寄せられています。一方で、水戸市内の利用者からは「水戸インターチェンジの近くに新設されることで、アクセスが向上し、より高度な医療が受けられるなら期待できる」との前向きな声も聞かれます。
県は、今後の検討課題として、既存施設の活用も含めた医療提供体制の詳細な設計を進めるとしています。また、統合される6病院のうち、県立病院だけでなく、公的病院(協同病院、済生会病院、医療センター、赤十字病院)についても、2つの拠点病院を中心に再編する方針を示しており、病院ごとの機能分担が今後の議論の焦点となります。
今回の統合計画は、県央・県北地域の医療を将来にわたって持続可能なものにするための大きな一歩ですが、一方で地域住民の不安を解消するための丁寧な説明と対応も求められています。新たな病院が真に県民の期待に応える施設となるよう、引き続きその進捗を見守っていきたいと思います。