行動履歴を残して判断・QRコードを掲示し読み込み
茨城県は、新型コロナウイルスの感染拡大と経済活動の両立をめざし、感染者と接触した可能性のある人に対してメールで通知する県独自のシステム「いばらきアマビエちゃん」の運用を6月末に開始しました。
感染症対策に取り組む県内の事業者が店舗やイベントでQRコードを掲示。それを店舗の利用者らがスマートフォン(スマホ)などで読み取り、メールアドレスを登録すると、同日、同じ場所で感染者が発生した場合に県から注意喚起のメールが届く仕組みとなっています。
いばらきアマビエちゃんの名称は、疫病を払うとされる妖怪「アマビエ」にちなんで名付けられました。
利用を希望する県内の事業者は、県ホームページで紹介されている専用の登録フォームから業種や店舗名などの必要事項を記入。その上で、感染拡大を防ぐための県のガイドライン(事業者向け)に沿ったチェックリストから、取り組んでいる対策を選択します。
すると、取り組み状況が反映されたQRコード付きの「感染防止対策宣誓書」が作成される。事業者はこの宣誓書を店舗などに掲示することで、県のガイドラインを順守し、安全性に配慮していることを対外的にPRできます。
一方、店舗やイベントに足を運んだ人は宣誓書に記載されたQRコードをスマホなどから読み取り、案内に従ってメールアドレスを登録します。同じ店舗を別の日に訪れた際は、その都度登録が必要です。「ガラケー」でも、宣誓書に記載されたメールアドレス宛てにメールを送ると登録できます。
感染者が発生した場合、行動履歴を踏まえ、同日、同じ場所を訪れた人に対して県がメールを送信し、広く注意喚起します。不要不急の外出自粛を促すとともに、発熱時などの問い合わせ窓口として帰国者・接触者相談センターの電話番号を知らされます。その際、風評被害を防ぐため、店舗名は明かさないこととしています。
7月20日現在で5000を超える店舗やイベントでQRコード付きの宣誓書が発行されたほか、延べ1万4000人以上がメールアドレスを登録しました。これまでに注意喚起のメールは送られていません。
6月下旬から県内における感染者が相次いで発生し、「第2波」が懸念されている状況を踏まえ、県の担当者は「事業者や県民へのさらなる周知が欠かせない」と強調。政府が開発したスマホ向け接触確認アプリ「COCOA」と併用して感染拡大防止に役立てたい考えです。
アマビエちゃんに協力している「ホテルレイクビュー水戸」は、コロナ禍で4~6月に休業や営業縮小を余儀なくされ、収入が激減。感染症対策に伴う経費は増大しました。野澤正浩・総支配人は「コロナ禍で苦しい経営状況が続いているが、宣誓書を通じて感染症対策に万全を期していることを周知し、選ばれるホテルをめざしたい」と語っています。
県議会公明党(高崎進幹事長)は新型コロナウイルスの感染拡大防止策を一貫して推進してきました。今年6月の議会質問では村本修司議員がQRコードを活用した感染防止策の実施を訴えていました。