常総水害時の県ボランティアセンター
防災・減災

茨城県災害ボランティア条例にもとづき基金創設

 2月26日、茨城県議会の令和3年第1回定例会県議会が開会し、大井川和彦知事が総額1兆2951億7800万円の令和3年度一般会計当初予算案など47議案を提出しました。大井川知事は所信表明で、ワクチンの先行接種が茨城県でも始まったことに触れ「接種が円滑に進むよう万全の体制を確保しながら、新型コロナウイルス感染症の一日も早い収束を目指す」と決意を示しました。
この予算案には、県議会公明党が主張していた災害ボランティア活動支援への基金設置事業が盛り込まれました。大井川知事は、東日本大震災から10年を迎えるのに当たり、「大規模災害はいつ起こるか分からない。県民の防災意識の向上と災害に強い県土づくりにしっかりと取り組み、国や市町村などと連携し、安心・安全な生活基盤を築いていく」と語りました。
2020年12月15日、茨城県議会は、議員提案で提出されていた「茨城県災害ボランティア活動促進条例」(災害ボランティア条例)を全会一致で成立させました。県ボランティア条例は、災害ボランティアの活動を促進して県民の安心・安全につなげることが目的です。条例は、定義、基本理念、県の責務、県民・事業者の理解、連携強化、人材の育成・確保、推進体制の整備、財政上の措置など全15条で構成されています。県に対してはボランティア活動の体制整備と併せ、基金の設置を求めています。主な内容は
  • 甚大な被害から災害ボランティアセンターの設置運営が困難な場合は、県が率先して必要な措置を講じる(第5条)
  • 県・市町村・社会福祉協議会に対し、災害ボランティアセンターの円滑な設置運営のため、役割及び費用分担を明確にしておく(第8条)
  • 児童生徒の防災意識の向上を図るため、学校で災害ボランティア活動に関する体験の機会を提供、自主防災組織等との交流に努めることを規定(第9条)
  • 災害ボランティア活動に際し、個人情報の保護、被災者の権利利益の保護や、感染症の予防など安全の確保を県に求める(第10条)
  •  条例の施策を総合的かつ計画的に推進するための体制の整備、基金の設置その他の必要な措置(第14条) —などです。

参考:茨城県災害ボランティア活動を支援し、促進するための条例(全文)(PDF:235KB)
https://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/fukushi/chiiki/20200817/documents/jorei.pdf


令和3年度新規事業にボランティア基金を造成

県ボランティア条例の成立を受けて、令和3年度当初予算には、ボランティア基金を造成する予算1300万円が盛り込まれました。ボランティアの事前登録制度の充実や専用ホームページにおける情報発信など、災害時にボランティアが円滑に活動できるよう平時から準備を整えるとともに、新たに災害ボランティア支援への寄付金を積み立てる基金を設置し、災害時の資機材の確保など災害ボランティア活動への支援を行います。
新規事業が認められたのは評価できますが、金額があまりに少額ですので、早期の数億円単位の基金造成を行うべきです。
その使い道も、災害時の災害救助法の適用にならないボランティア活動等への支援に充てるべきです。
◯事業概要
災害ボランティアによる被災者支援活動の円滑化等に直結する事業に対して助成
◯助成対象団体
茨城県社会福祉協議会
◯助成対象項目
・災害ボランティアの現地作業に要する用具等の購入
(例)スコップなどの資機材購入経費
・災害ボランティアの輸送
(例)送迎用バスの借上経費
・災害ボランティアセンターの運営支援のためのシステム整備等
(例)災害ボランティアの事前受付システム、マッチングの円滑化に資するシステム等