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すべての赤ちゃんに希望を──茨城県で新たな難病検査が無料に

生まれて間もない赤ちゃんの健やかな未来を守るために、茨城県では大きな一歩が踏み出されました。2025年5月1日から、県内で誕生するすべての赤ちゃんを対象に、2つの重い難病に関する検査が新たに無料で受けられるようになりました。
「新生児マススクリーニング検査」は、すでに全国で行われており、生後まもない赤ちゃんの血液を調べることで、先天性の代謝異常など20種類の疾患を早期に発見することができます。これらは、早期発見さえできれば、適切な治療や食事療法により健康な生活を送ることが可能になります。この検査の費用は、国や自治体が公費で負担しており、すべての赤ちゃんに等しく提供されています。
今回、茨城県ではこれまで有料で行われていた3つの難病のうち、2つの検査が新たに公費負担となり、無料化されました。検査の対象となるのは、県内で5月1日以降に生まれた赤ちゃん全員です。具体的には、以下の2つの疾患が検査対象となります。
1つ目は、「重症複合免疫不全症(SCID)」。これは、赤ちゃんが生まれつき免疫力を持たず、感染症に極めて弱い体質となる病気です。発症頻度は5万人に1人とまれではありますが、早期に診断されれば、骨髄移植などの治療により命を守ることができます。
2つ目は、「脊髄性筋萎縮症(SMA)」。全身の筋肉が徐々に動かなくなっていく進行性の難病で、2万人に1人の割合で発症するとされています。しかし、最近では効果的な治療薬も登場し、発症前の早期治療が予後を大きく左右することがわかっています。
県内のすべての出産可能な医療機関でこの検査が実施されるようになっており、保護者の同意があれば、赤ちゃんの未来を守る大切な一歩となるでしょう。茨城県も「できるだけ多くのご家族に、この検査の意義を知っていただき、ぜひ受けてほしい」と呼びかけています。
来年度以降には国レベルでこの検査の有効性が分析され、将来的には全国展開を目指す方針とのこと。茨城県の今回の取り組みは、全国の先駆けとして、すべての赤ちゃんとご家族の希望となるに違いありません。
赤ちゃんの命を守るのは、私たち大人の責任です。どんなにまれな病気であっても、たった一人の命が救えるなら、その価値は計り知れません。未来を担う子どもたちの健康を守るために、こうした検査の意義が広く伝わり、制度がしっかりと定着することを願っています。