茨城県の話題 高崎進

中小企業の人材確保に“奨学金返還支援”制度創設を検討/高崎進県議の質問に大井川知事が答える

10月21日に開かれた茨城県議会の予算特別委員会で、公明党の高崎進議員は、県内中小企業の深刻な人手不足に対して、奨学金返還支援制度の創設を提案しました。

帝国データバンクの調査によると、茨城県内で正社員の人手不足を感じている企業の割合は全国平均を上回り、とくに中小企業では人材確保が大きな課題となっています。高崎議員は、「近隣の埼玉県では令和4年度から、また千葉県でも今年度から中小企業等を対象とした“奨学金返還支援事業”が始まっている」と指摘。その上で、「他県が若い人材の確保に力を入れる中、茨城県としても独自の支援策を講じ、中小企業の人手不足解消と人材定着を図るべきだ」と訴えました。

これに対し、大井川和彦知事は、「人材確保は喫緊の課題であり、企業が求職者にとって魅力ある職場となることが重要」と述べ、県としても中小企業の省力化・生産性向上や価格転嫁の支援、海外展開や新分野進出への伴走支援など、幅広い対策を進めていることを説明しました。

さらに知事は、「委員ご提案の奨学金返還支援を行う企業への補助事業については、整理すべき課題はあるものの、今後、実施する方向で積極的に検討していく」と答弁。公明党がかねてから提案してきた「奨学金返還支援による地域定着型の人材確保策」が、県の新たな政策として検討段階に入ることになりました。

若者が地元で安心して働き、企業が持続的に成長できる環境をつくる――。公明党県議団は、引き続き中小企業の現場の声を踏まえ、働く人にも企業にも希望のもてる茨城づくりを推進してまいります。

「奨学金返還支援事業」とは・・・

埼玉県や千葉県で実施されている奨学金返還支援事業は、いずれも中小企業の人材確保を目的として、企業が従業員の奨学金返還を支援した際に、その一部を県が補助する仕組みです。

埼玉県では、企業が支援した金額の2分の1を県が補助し、上限は1人あたり年9万円(「多様な働き方実践企業」は年12万円)まで。千葉県では、1人あたり年5万円(本来上限10万円の半額)を上限に、最大6年間補助されます。いずれも対象は正社員で、採用から6年以内の若手従業員に限られています。

しかし、大学卒業者が返済している奨学金の平均額はおよそ総額300万円で、月々1万5千円〜2万円、年間では18万円〜25万円前後の返済負担が続きます。これと比べると、現行制度の補助額は返済額の2〜3割程度にとどまり、負担軽減の実感を得にくいのが現状です。

茨城県が制度設計を行う際には、こうした実情を踏まえ、より実効性の高い支援が求められます。
たとえば、年間10万円以上の支援や、複数年の継続補助、対象業種の拡大など、企業と若者の双方にメリットのある仕組みを設けることで、地域定着型の人材確保を一層強化することが期待されます。