7月31日、茨城県議会は臨時会を開き、県有施設の在り方などを審議する「県有施設・県出資団体等調査特別委員会」の設置を決定しました。
鹿島セントラルホテル(神栖市)、白浜少年自然の家(行方市)など、先に県が売却方針を固めた施設について審議し、9月中に意見を集約します。ほかの県有施設や出資団体についても約1年かけ広く議論を重ね、県に提言する事になりました。
臨時会では、調査特別委の委員長に田山東湖議員、副委員長に星田弘司議員を指名したほか、15人の委員を選任しました。県議会公明党から、村本修司議員が選ばれました。
第1回審議は2日に開催され、今後の調査方針や活動計画などを決定しました。調査特別委では、鹿島セントラルホテル、白浜少年自然の家、洞峰公園(つくば市)など、すでに売却や譲渡方針が決まっている施設を先行して審議します。
このほかの施設や県が出資する33団体は約1年かけて調査し、議論を深めます。
鹿島セントラルホテルの民間売却に当たり、県は当初、7月から公募を始める予定でした。しかし、余りに性急な決定に、議会や地元から説明が不足しているとの声が上がりました。調査特別委の設置や神栖市議会の要請による地元説明会の開催が決まり、公募手続きは、地元説明会や調査特別委の審議状況を踏まえながら進めることになりました。
鹿島セントラルホテルは、県の出資団体「鹿島都市開発」が運営するホテル。鹿島開発のシンボル的施設で、1972年にオープンし、東京方面への高速バスのバスターミナルが設置されているほか、最近では新型コロナワクチンの大規模接種会場としても利用されてきました。新型コロナの影響などで宿泊客やレストランの利用客が減少するなど、経営状況が厳しくなっていて、今後、必要になる老朽化に伴う大規模な修繕をはじめとした施設の維持管理に多額の費用が見込まれることから、民間への売却を決断しました。
茨城県の大井川知事は記者会見で、「人口減少が一気に進み、県有施設の利用率が低くなる懸念があります。また、高度成長期に造った施設が多いことから、その老朽化により、施設の管理費が莫大な額に増えていきます。放っておくと30年間で3兆円。長寿命化をしていても2兆円ぐらい必要になってくるというような試算もあります」(取意)と語り、早期処分の必要性を強調しています。