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チームラボ最新作「チームラボ 幽谷隠田跡」、北茨城市五浦にオープン

9月30日、チームラボの最新作「チームラボ 幽谷隠田跡」が、茨城県北茨城市の五浦にオープンしました。
五浦は、日本美術史に名を刻む岡倉天心ゆかりの地として知られ、雄大な自然と芸術が融合した特別な場所です。その歴史的な場所に、チームラボが新たなアート空間を創り出しました。
「チームラボ 幽谷隠田跡」は、夜の森の中で自然そのものがアートとなる「Digitized Nature Art」プロジェクトの一環として作られた常設展示です。このプロジェクトは、デジタル技術を駆使し、自然を破壊することなく、その魅力を引き立てることを目指しています。今回の作品では、森の中に広がる棚田の跡地を舞台に、無数のLEDライトやデジタル映像を使用して幻想的な風景が演出されます。訪れる人々は、自然とデジタルアートが融合したこの神秘的な空間で、光や音に包まれながら特別な体験をすることができます。
また、チームラボのアートに没入できるだけでなく、源泉掛け流しの温泉とグランピング施設も併設されています。この「五浦幽谷隠田跡温泉」では、五感を刺激するアート体験とともに、北茨城の豊かな自然の中での休息を楽しむことができます。温泉で身体を癒しながら、目の前に広がる作品空間に没入するという贅沢なひとときを過ごせるのは、ここならではの体験です。
開所式には、村本修司県議会議員が来賓として出席し、実際に施設の調査を行いました。
「チームラボ 幽谷隠田跡」は、茨城県の新たな観光拠点として、多くの人々に訪れてもらいたい場所です。岡倉天心が愛したこの地で、自然とアートが調和する異次元の空間を、ぜひ味わっていただきたいと思います。
 
地域の魅力を発信する拠点としての「チームラボ 幽谷隠田跡」の課題
「チームラボ幽谷隠田跡」は、茨城の新たな地方創生の起点として期待されています。
お披露目会で「五浦幽谷隠田跡温泉」を管理運営する株式会社創輝の酒井喜則社長は、このプロジェクトのコンセプトを「故きを温ねて新しきを創る」と表現しました。素晴らしいチームラボのアートの力をもとに、地方創生の新たな流れを起こしたいと決意を述べました。
チームラボ作品の集客力は抜群です。しかし、屋外の常設展示の課題も大きなものがあることも事実です。第一に夜間の展示ですので、昼間の集客をどのようにするかという課題です。幽谷隠田跡は山深い細い道を散策するような構造になっているため、雨天時や冬期の足場が悪いのも気になります。急な坂道や階段も良いために、障がい者や高齢者に優しいユニバーサル設計(バリアフリー設計)にも対応していません。
こうした課題を管理運営を行う創輝や地元自治体がどのように克服していくかが、大きな宿題です。
創輝は茨城県宿泊施設等立地促進事業の第1号に認定されています。国内初のチームラボ監修のグランピング施設や、県内初のチームラボデジタルアート常設展示によって、首都圏等からの集客や周遊促進が期待できること。話題性のあるコンテンツにより県北地域の新たな観光拠点となりグランピングなど県が推進する「体験王国いばらき」を後押しする施設であるなどの理由により、令和5年度、茨城県は1億円の補助金を出しており、この施設には地方創生の主体者として公的な責任もあります。
こうした状況の下に、次の三点を検討すべと提案します。
  • 「チームラボ幽谷隠田跡」の通路(山道)のより高い安全性の確保。会場内は大変暗く、悪路、階段が多くなっています。道路の舗装や手すり、階段の整備、道路照明の改善が必要です。
  • 高齢者や障がい者にも優しい施設に改善を。「チームラボ幽谷隠田跡」の素晴らしいアート空間を、残念ながら高齢者や障がい者は体感することが出来ません。例えば、電動カートなどに主要なアート作品に行くことが出来るルートを整備できないでしょうか。例えば、「隠田跡の水鏡の道」は素晴らしい体験が出来るスポットですが、車いすなどで渡ることができるように改良することは出来ないでしょうか。誰でもがこの素晴らしいアート空間を堪能できる施設とすべきです。
  • 地元自治体、周辺の観光事業者、ホテル事業者との協働。「五浦幽谷隠田跡温泉」のコテージ、グランピング施設は合計20棟です。多くの観光客が押し寄せて、列をなすような状況は想定しませんが、北茨城の食や自然の魅力をより多くの方々に実感していただける地域の体制づくりは重要。地域をあげての活用策を検討すべきです。