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茨城県、今年度中に「茨城県こども計画」を策定

茨城県は、新たに「茨城県こども計画」の策定を進めています。
この計画は、全ての子どもと若者が身体的・精神的・社会的に幸福な生活を送れる「こどもまんなか社会」の実現を目指した重要な取り組みです。2025年度から2029年度までの5年間を対象とし、妊娠期から子育て期、さらには青年期までを包括的に支援する施策を示しています。計画の背景には、2023年4月に施行された「こども基本法」の規定があり、これにより都道府県レベルでの計画策定が努力義務とされたことが挙げられます。
計画の主な目的は、子どもと若者の意見を反映させながら、児童虐待防止や社会的養護、さらにはヤングケアラーへの支援を含む幅広い課題に対応することです。また、妊娠や出産、子育て期における切れ目ない支援体制の整備も柱の一つとされています。具体的には、児童相談所の専門職員の増員、一時保護施設の環境整備、里親制度の充実、不妊治療と仕事の両立支援、そして市町村の産後ケア事業の推進など、多岐にわたる施策が盛り込まれています。
達成すべき具体的目標に、14項目が掲げられています。2029年度の目標として、里親やファミリーホームの元で養育される要保護児童の割合(里親委託率)を。23年度比48.4ポイント増の70%に設定。小中・義務教育学校の不登校児童生徒が学校内外の機関で相談や指導を受ける割合は100%を目指します。県の結婚支援事業による成婚数は累計で900組増の3690組としました。
茨城県こども計画の策定により、既存の各種施策を一体化することで、関連部署間の連携が図られ、行政の効率化や住民への分かりやすさが向上します。また、児童虐待の早期発見や対応体制の強化、いじめや不登校への支援、子どもの安全を守る環境整備が進むことで、子どもたちがより健全に成長できる社会の実現が期待されます。
一方で、計画策定の進捗状況には地域差があります。茨城県内の自治体のうち、2023年度中に計画を策定すると回答したのは約4割の17市町にとどまっており、半数以上の自治体が策定を「未定」としています。その理由として、計画策定に必要な準備期間の短さや当事者意見を反映するための手法確立の課題が挙げられています。市町村によっては、学校や公共施設を活用したアンケート調査や直接聞き取りを行うなど、創意工夫が見られますが、全体的な取り組みの進展にはさらなる支援が必要とされています。
茨城県こども計画は、県と市町村、さらには地域社会全体が連携して取り組むべき重要な課題です。この計画を通じて、全ての子どもたちが自分らしく成長できる環境が整い、将来に希望を持てる茨城県を実現していくことが期待されています。計画の詳細は現在パブリックコメントを募集中です(1月17日まで)。県民一人ひとりの声を反映させた充実した内容となることを期待します。