茨城空港の国際線発着制限が撤廃されました。茨城県民にとって長年の課題であった運用の“窮屈さ”が解消され、いよいよ茨城空港の本格的な飛躍が視野に入ってきました。
茨城県議会公明党議員会として、この決定を強く歓迎し、地域経済と県民生活の実利につながる具体策を急いでまいります。
今回の見直しは、8月7日付で適用が始まりました。これまで茨城空港は、航空自衛隊百里基地との共用の事情から、平日の午前帯や水曜終日など国際線が原則就航できない時間帯が細かく設定され、さらに「国際線の出発から次の国際線の到着まで1時間空ける」「1便あたりの乗り入れ時間は1時間以内」といった運用上の制限が課されてきましたが、これらが一括で撤廃されました。空港の運用時間(7時30分〜21時)の範囲内で、航空会社は希望する時間帯に自由にダイヤを組めるようになります。なお、夜間駐機の制限は従来どおり継続されます。
この撤廃は旅客便だけでなく貨物便・チャーター便にも適用されます。観光もビジネスも需要が戻るなか、国際線ネットワークの拡充、利便性の向上、そして地域産品の輸出力強化に直結する政策効果が期待できます。県は本件を受け、航空各社との新規就航や増便の協議を本格化させています。

大井川知事は会見で、「これまで時間帯の制約ゆえに増便のご要望に応えられなかった事例もあったが、撤廃は大きな追い風」と述べ、首都圏“第三の空港”の実像に近づける一歩だと強調しました。実際、これまで時間帯の制限に阻まれていた路線の調整が動き出し、エアライン側からの増便ニーズも確認されています。
もちろん、前進に合わせて“次の課題”も見えてきます。ダイヤの自由度が上がるほど、旅客・手荷物・税関・出入国・検疫(CIQ)の動線は繁忙時に偏りやすくなります。ターミナルの処理能力や誘導路の余裕、動線の混雑対策、多言語案内や円滑なバリアフリー導線など、ソフトとハードの両面を段階的に底上げする必要があります。県は2040年代を見据えた空港ビジョンのなかで機能強化の方向を示していますが、私たち公明党議員会としても、現場の実態に即した投資の優先順位を可視化し、過不足のない体制づくりを後押しします。
アクセス改善も大切です。首都圏北東部や県央・県北からの連絡バスの利便性、JRやつくばエクスプレス沿線からの乗り継ぎ、周辺道路の渋滞ポイントなど、利用者の“合計所要時間”を短縮する工夫が空港の競争力を左右します。
観光では大洗・ひたちなか・水戸・筑波山エリアと結ぶ周遊性、ビジネスでは県内製造業や農水産物の輸出入に直結する定時性がカギになります。
県議会公明党は、ダイヤ改編に合わせた連絡バス増便の働きかけ、道路整備の優先順位づけ、空港内外の案内強化を、関係部局と連携しながら一つひとつ具体化していきます。
共用空港としての安全・安心も、これまで以上に丁寧に守っていきます。運用は自由度が広がる一方で、夜間駐機の制限継続など一定の枠組みは維持されています。自衛隊と空港会社・県・関係機関との即応的な連絡体制、訓練時や災害時の情報提供、騒音や環境への配慮など、地域との信頼を積み重ねることが、路線誘致の持続性を支えます。
今回の撤廃はゴールではなくスタートです。ダイヤの自由度が増した今こそ、航空会社が選びたくなる「使いやすい空港」を現実にする段階に入りました。
私たち茨城県議会公明党議員会は、①新規就航・増便の実現を加速する営業・受け入れ体制の整備、②混雑時間帯の処理能力向上とCIQの円滑化、③県内周遊と広域周遊を見据えたアクセス強化、④貨物・チャーターを含む産業振興への波及、⑤安全・防災・環境に配慮した共用空港運用の高度化を、現場主義で前に進めてまいります。